この映像は1988年頃の製作の映像で、オペラ・ハウスのライブ録画ではなく、映画と言うか・・・プロモーション・ビデオと言うか・・・って感じの映像です。
これは演出がジャン・ピエール・ポネルで彼の遺作となったようです。
指揮はニコラウス・アーノンクール、出演はエディタ・グルヴェローヴァ、デローレス・ツィ-グラー、テレサ・ストラータス、フェルッチョ・フルラネット、ルイス・リマ、パオロ・モンタルロソ。
最初は幕が上がるといきなりモンタルロソ演じるドン・アルフォンゾの目の前で、グリエルモ&フィオルディリージ、フェランド&ドラベッラがイチャイチャやっています。(ちょっと人前で堂々とイチャつくのが凄い!)ちょっとワザとらしい気もしなくも無かったです。。。
しかし、この演出ではアルフォンゾはベタベタやっている恋人達の仲をぶち壊してやろうって感じに思えました。
ストーリーでは、フェランドとグリエルモは金を賭けてでも良い!絶対に自分達の恋人は浮気をしない!って思い込んで・・・って所なのですが・・・。全体的に観ているとこのアルフォンゾは工作して恋人達の仲をぶち壊して楽しんでいるって雰囲気に思えてしまいました。
まずは一幕で面白かったのは、最後のデスピーナがニセ医者に変装してインチキ治療のシーン。
このシーンではデスピーナ役のストラータスの声がいつもと違う変な声に変えて歌っていました。これ、どうやってこの様な声を出しているのか分かりませんが、ストラータス自身が声優の様にわざと声を変えて発声しているのか・・・それともよくあるヘリウムガスを吸って変な声に変えてしまうのか・・・?この辺は不明。けどガスなんか吸ったらねぇ・・・(^^;)喉に悪いと思うのですが・・・。それとも特殊効果?それとあとはルイス・リマ演じるフェランドは上半身裸に!(超セクシーな身体!)
いきなり一気に服を脱ぎ捨てて裸になってしまったから・・・ワオッ・・・って感じです。多分、毒を飲んだ振りして更に激しい苦しみを見せ付ける為では・・・?と感じています。
二幕でフェランドとグリエルモは別人に変装して自分の恋人でない方の女性を口説き落とすのですが、グリエルモは本気で口説き落とすって感じではなく、面白がっている様に思えるのですが、フェランドがフィオルディリージを口説き落とす時は凄いです。リマの歌い方といい演技と言い、必死で口説き落とそうとするのが凄かったです!顔の表情もとにかく必死!完璧に本気で口説こうとしているって感じでした。けど、このフィオルディリージを口説き落とされた時のグリエルモの絶望的な表情は忘れられません。一方、ドラベッラを落とされた時のフェランドは物凄い凄まじい感じの同様を見せた雰囲気がありましたが、フィオルディリージを落とした時は「ざまぁ見ろ!」って感じで、面白かったですが、ちょっと残酷さも感じました。
ラストは若い男2人のそれぞれの恋人が絶対に浮気をしないと信じていたのに、どちらも気が変わってしまった事が分かって絶望している所をアルフォンゾがまた再び恋人同士を元通りに戻してハッピー・エンドの設定だったと思いますが、この演出は違っていました。
全くハッピーエンドって感じではないです!
グリエルモは恋人に裏切られて放心状態で最後は「もう、どうにでもなれ!」って雰囲気で、フェランドは本気でフィオルディリージを口説き落として、彼自身も気変わりしたって雰囲気でした。それでフェランドとフィオルディリージは本気で愛し合ってしまったって感じで、何だかアルフォンゾは強引に元に戻したって雰囲気に感じ取れました。
フィオルディリージのグルヴェローヴァは、さすがにコロラトゥーラの第1人者って感じでとにかく声が美しいです。聴いているだけでも安心感が沸きます。
ドラベラのツィ-グラーはソフトな感じのメゾ・ソプラノだと思いました。特別印象をもったわけではないですが最後の自分の過ちが分かったって感じで涙を流していたが印象的です。
デスピーナのストラータスとアルフォンゾのモンタルロソは凄く芸達者っていうか、コミカルでまた聴かせる所は聴かせるって感じです。
フェランドのリマは、彼の声はどちらかと言うと「ドン・カルロ」や「カルメン」なんかの方が私自身は好きなのですが、彼の迫真の演技には何時も惚れ惚れします。
グリエルモのフルラネットはコミカルな時は観ていて凄く笑えそうになるのですが、シリアスになるとまたそれなりの味わいが出てくるので素敵でした。
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