キャストは次の通り指揮=ベルナルド・ハイティング
オリジナル演出=ルキノ・ヴィスコンティ
舞台演出=クリストファ・レンショウ
出演ドン・カルロ=ルイス・リマ
エリザベッタ=イレアナ・コトルバシュ
ロドリーゴ=ジョルジュ・ザンカナーロ
フリッポ2世=ロバート・ロイド
エボリ公女=ブルナ・バリオーニ
1985年英国ロイヤル・オペラの映像ですが、この中ではもう言うまでも無く、ルイス・リマのドン・カルロの存在が圧倒的なものを感じさせられました。
彼のドン・カルロは優しさの中に弱さあり、その中にまた突然キレ出すというちょっと怖い雰囲気もあるドン・カルロでした。
何せリマのドン・カルロって今にも泣き出しそうな雰囲気が物凄く出ていて(終幕では本当に涙を流していますが)、その泣き出しそうになっているかと思えば、突然キレて怒り出す。それと捕らえられる時に声を出して笑っていたり、牢獄の中でニヤリと笑みを浮かべたり等、精神的に不安定そうなこのキャラのイメージを見事に浮き上がらせていたと思います。あとは、とにかくエリザベッタ命・・・って雰囲気がまた良かったです。それと歌声がとにかく美声、外見も超美男子!この映像はリマの魅力がたっぷり味わえます。
他ではロイドのフィリッポは声はかなり分厚いタイプのバスで、圧倒された雰囲気がありました。けど、息子からも慕われず妻からも愛されない悲痛さを訴える4幕1場でのアリア「一人淋しく眠ろう」のロイドの歌い方は痛々しささえ感じさせてくれました。
ザンカナーロのロドリーゴはカルロの友人というより、お父さん的友人って雰囲気があって、包容力がある感じが良かったです。
女性陣はコトルバシュのエリザベッタは声は少し細めと感じましたが、可愛らしさと悲しさを秘めた雰囲気があって良かったです。
エボリ公女のバリオーニは上品さはなかなかのものでしたが、もう少し歌い方に迫力が欲しいな・・・って所かな・・・。カルロを脅すシーンは、何だかいじめているって雰囲気に思えました。
指揮は、これまで聴いた中ではどちらかと言うと速いテンポの方に感じました。
この映像は5幕版だったのですが、やはり「ドン・カルロ」は5幕版の方がストーリー的に筋が通っているって感じで良いです。
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