この映像は、1991年英国ロイヤル・オペラの公演の物で、演出がスペインの女流演出家のヌリア・エスペルト、指揮=ズービン・メータ、出演=マリア・ユーイング、ルイス・リマ、レオンティーナ・ヴァドゥーヴァ、ジーノ・キリコetcです。
メータの指揮は何となくダイナミックな雰囲気で、またその中に繊細さも感じられて良かったです。
あとは、エスペルトの演出が繊細さがあって、ラストシーンでは珍しい演出となっていたのが印象的でした。
歌手ではカルメンのマリア・ユーイングは現代的なツッパリネェちゃんって感じで、知的な雰囲気もあってホセを思いのままに操って、挙句の果てには冷たく突っぱねてしまうって感じが見事に現れていて素敵でした。
彼女はソプラノのレパートリーも持っているそうで声質はメゾ・ソプラノとしては細い感じでしたが、この細い声質がカルメンの気の強さを物語っているって感じにも思いました。
ドン・ホセのルイス・リマはさすがにこの役が得意としているって事もあって、モロにハマッている感じです。リマは見た目だけでも繊細な雰囲気もあるし、この繊細さがまたキャラにピッタリ!アリア「花の歌」なんか聴いているだけでホロッとさせられます。弱々しそうに見えていたけど、最後は強烈!恐ろしい感じに変身!ラストシーンでは必死にカルメンにすがりつくけど、次第に凶暴になっていくって感じでストーカーの恐ろしさも感じさせてくれます。
このラストシーン・・・物凄いです!突き飛ばす。押し倒す。殴る。身体を引きずる。。。凄まじさをたっぷりと味わえます。
恐らく、ユーイングもリマも2人共かなり体力を消耗しているのでは・・・?と感じられるほどラストは凄まじい勢いです。
それにカルメンを殺すシーンは持っていたナイフで刺すのか・・・と思ったら、早いうちにナイフを捨ててしまって・・・さぁ、どうする?って感じの演出です。何かを使ってカルメンを殺すのですけどねぇ・・・。
けどとにかく手に汗を握り締める様な雰囲気のラストシーンです。
リマのホセって優しさも感じられるけど、キレたら恐ろしい・・・(^^;)って感じです。
他ではエスカミーリョのジーノ・キリコですが、この人のエスカミーリョってちょっと批判的な論評も目にするのですが、私は彼のエスカミーリョってこれまでのこのキャラと違った雰囲気で良いと思っています。このキャラはイメージ的には荒々しいイメージの様ですが、恋にしても気長な所があって、ある意味ではホセと違って柔軟な性格のキャラだと感じているので、そう言う意味では彼のエスカミーリョって凄く良いと感じています。まぁ言えば融通の利くって感じの性質が現れているって感じかな・・・。歌い方も特別に勢いのある歌い方ではない方に感じたので、これもこの大人びた性質を表しているのかなぁ・・・?とも感じました。
ミカエラのレオンティーナ・ヴァドゥーヴァは可愛らしい雰囲気が凄く出ていて、田舎娘にピッタリって感じでした。
印象に残った・・・と言うほどではありませんが、ホセを思い続ける純粋さは見事に表れている様な感じがしました。
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