2001年、チューリッヒ国立歌劇場での公演の映像です。
この「マクベス」ってシェークスピアのもので、本来なら時代設定が中世の11世紀頃の設定となっています。しかし、この映像を観た感じでは、11世紀ではなく、服装なんかからすれば20世紀くらいの感じに思えました。
何せ服装が・・・特に魔女の格好が笑えてしまいます。魔女の服装は全員が赤やピンクっぽい色でTシャツ、ウエスト・ポーチ、リュックサック、今風のスーツにハイヒール、中には赤い下着の様な格好の者までいたのには笑えます。
それで、他の者は背広っぽいものにネクタイとか、特にパオレタ・マッローク扮するマクベス夫人の衣装が強烈なくらいセクシー過ぎて、まぁ言えば某セクシー姉妹が着用しそうな雰囲気のドレスでした。(色は真っ黒でしたが) けど、マッロークのこの姿はなかなかセクシーでした。
演出面では、色々工夫を凝らした感じの所もありましたが、あっけない面もあり・・・って感じです。
オペラでは出てこない筈になっていたと思っていたマクダフ夫人らしき女性(私の推測です)が出てきた事や、魔女の中に少女や男性も混ざっていたのも変わっていると思いました。(私はこのオペラを観たのは、実はこの映像が初めてなんです)
それで、三幕でマクベスに3つの予言をするシーンが、少女と男性と少年役(?)が出てきたのが印象に残っています。
他では、マクベス夫人のマクベスからの手紙を読んで、アリア「早く来て、明かりを」のシーンでは映画なんかで良くある手紙のシーンに似ていて、受け取った者が読んでいる時に書いたものが手紙を書くシーンが挿入された感じの演出だったのも珍しかったです。
他では、まぁ言えば観ている側が色々想像が出来るって感じにも思えました。
あっけない面は、トーマス・ハンプソン扮するマクベスVSルイス・リマ扮するマクダフが最後に戦う所・・・。本当なら戦って、マクダフのある台詞が元でマクベスは戦う気力を無くしてやられてしまう筈なのに、この演出では、戦うどころか・・・終始無抵抗なマクベスをマクダフが一方的にメッタ刺にするって感じで、しかもこの刺し殺すシーン・・・剣が貫通して無さそう(^^;)・・・部屋の中にいるマクベスを外からマクダフが壁越しに突き刺すのですが、貫通してないのにマクベスが死ぬのが・・・ちょっと・・・って所です。はっきり言って、戦って欲しかった。。。長身のハンプソンとリマの身長の差からすれば、丁度「スター・ウォーズ」でのダース・ヴェーダ-とルークの身長差くらいあるから、ルークVSダース・ヴェーダ-風の戦いになることを期待していたのに。。。それで、ルイス・リマはルークのマーク・ハミルと同じ位の身長だと思うし、トーマス・ハンプソンはダース・ヴェーダ-役のデビッド・プラウズと同じ位の身長だと推測できるので、当てが外れたって感じ。。。
歌手では、ハンプソンのマクベスが強烈なくらいで、野心と気弱さが見事に現れていたって感じで凄みがありました。なかなか勢いのある歌い方のところがあるかと思えば、オドオドした感じも見事に現れたと思います。けど発狂的な表現は凄まじかったです。
マッロークのマクベス夫人はこのキャラのわりには細めの声に感じましたが、セクシーさも漂わした反面、見事な悪女ぶりで怖さをたっぷりと感じさせてくれたって感じです。マクベスを操っているって雰囲気が見事に出ていて、凄みがありました。最後の夫人が狂乱する所は本当にゾッとさせてくれます。
リマのマクダフは、この時のリマは声の調子なんですが、PCで映像を再生していた為か不調気味の様に聞えてしまったのですが、やはり役への入りようは凄いです!はっきり言って映画俳優並です。アリア「父の手は」を歌う時なんて、涙を流していた感じだったのですから・・・。だけど音がずれる事無く安定した歌い方が素敵でした。
バンク-オのロベルト・スカンディウッツィは声は美声のバスバリトンだったんですけどねぇ。。。存在感が他のキャラの中に埋まってしまった感じでちょっと惜しい・・・(--;) けど殺される前の息子を逃がす所は何となく歌唱面で涙を誘われそうです。
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