ドニゼッティの33歳の頃のオペラで、彼の最初の成功作とされていたようです。
このオペラは16世紀頃のイギリス国王ヘンリー8世の2番目の妃で打ち首(日本式の言い方ですが^^;;)にされてしまったアン・ブーリンがモデルとなっているオペラだそうです。
オペラでは実在の歴史上人物の名前はイタリア式(?)に変えている様な感じですが、ヘンリー8世=エンリーコ8世
アン・ブーリン=アンナ・ボレーナ
ジーン・シーモア=ジョヴァンナ
リチャード・パーシ=リッカルド・ペルシ
以上の様に名前を変えてあります。
台本・・・フェリーチェ・ロマーニ
作曲年・・・1830年
初演・・・1830年12月 ミラノ・テアトゥロ・カルカノ
登場人物アンナ・ボレーナ(ソプラノ)
ジョヴァンナ(メゾ・ソプラノ)
エンリーコ8世(バス)
リッカルド・ペルシ(テノール)
スメトン(メゾ・ソプラノ)
ロシュフォール卿(バス)
エルヴェイ(テノール)
あらすじ第一幕16世紀前半頃のイギリス・ウインザー城内の広間ではイギリス国王エンリーコ8世が女官のジョバンナに恋をして王妃であるアンナに対して冷たい態度を取る様になっています。
この国王は過去に周りの人々から反対をされていたにも関わらず、その周囲の反対を押し切って最初の王妃と離婚をしてアンナを王妃としたのです。
それで今ではアンナにも飽いてしまったって感じ。。。(^^;;)
実は王妃アンナも過去にペルシという恋人いて、彼の事が忘れられないのです。
国王にとってはこの事が気に入らず、アンナが裏切った様に思い込んでしまうのです。
夫である国王の態度に不安を抱いているアンナは気晴らしに楽師スメトンに歌を歌ってもらうのですが、それでも気分が晴れません。
王に愛されているジョバンナは国王が自分の主人でもある王妃アンナに対する冷たい仕打ちで良い気分ではありません。
そんなジョバンナに対して国王は彼女を王妃として迎え入れる様な事をほのめかします。
国王はアンナを王妃の座から放り出して女官のジョバンナを次の妃とするつもりだったのです。
その一方では、アンナのかつての恋人ペルシが反逆罪で追放されていたのですが、ご赦免で再びロンドンに戻って来ました。
彼はアンナの兄であるロシュフォール卿と再会を喜び合い、国王はペルシを王妃アンナと再会させます。
王妃とペルシの仲を疑っている国王はこの昔の恋人同士の仲を周囲に見せ付けて自分の妃が不倫をしている様に周りに示そうとする為に工作しているのです。
それで再会した昔の恋人同士アンナ&ペルシ。
ペルシはご赦免を感謝して国王の目の前でアンナにキスをするので、更に国王は疑いを抱き、部下のエルヴェイに2人の監視を命じます。
アンナの居間ではスメトンがこっそり忍び込んでいます。
彼は以前彼女の部屋から盗んだ王妃の肖像画をこっそりと戻そうとしていたのです。
そんな時にアンナとペルシが現れたのでスメトンは当然の事ながら慌てて姿を隠します。
アンナとペルシは元の恋人同士。。。
ペルシは王妃となったアンナを口説きますが当然拒否。
今は王妃でも昔の恋人に拒絶されてショックを受けたペルシは短刀を取り出して自殺を図ろうとしますが、隠れていたスメトンが出てきて止めます。
このややこしい状況の所へ国王エンリーコ登場!
国王は騒ぎを聞きつけて駆け込んでくるのです。
それで更に運が悪い状況に陥ります。。。
スメトンが以前盗んだ王妃の肖像画を隠し持っていたのですが、それを落としてしまうのです。。。
それでスメトンが王妃の肖像画を落とした事で国王は完全にブチギレ状態!
妃であるアンナが自分を裏切り、他の男と浮気をしたと思い込んで彼女を不貞の罪で裁判にかける事を宣告します。
第二幕不貞の罪を着せられたアンナは軟禁状態にされています。
彼女の女官達は証人として連れて行かれ、ショック状態に陥っているアンナの元へジョヴァンナがやって来ます。
彼女はアンナに国王と離婚するように促し、離婚すれば許してもらえる事を告げます。
しかしアンナは拒否します。
ジョヴァンナはアンナを助けたい一心で、遂に自らが国王の愛人である事を告げます。
アンナはそんな彼女を許し、国王に思いを寄せられている事で悩んでいる彼女を慰めます。
いよいよアンナは裁判にかけられます。
裁判の控の間でスメトンは王妃が不倫していた様に嘘の証言をしてしまうのです。
実はスメトンはハメられていたのです。
彼はこの様な嘘の証言をすれば、王妃を救う事になる・・・と騙されていたのです。
アンナは必死に懇願し、ペルシもアンナの潔白を訴えますが国王は2人の訴えを突っぱねてアンナに死刑を宣告します。
それでジョヴァンナもアンナを救う為に自分は身を引きたいと願い出ますがそれも国王には通用せず、結局はアンナの死刑が確定した事が告げられます。
遂に死刑が確定したアンナはロンドン塔の牢獄に投獄され、自分のかつての恋人ペルシも処刑され、また、兄ロシュフォールまでも処刑される事を知り、遂に発狂。。。
嘆き悲しむ侍女を前にアンナは恋人達が処刑された合図と国王とジョヴァンナが祝福される物音が聞えた事で更に発狂してその場に倒れ込み、そのまま息を引き取ってしまいます。
YUKIのコメントYUKIはこのオペラのラストで歌われるアンナのアリア「私の生まれたお城」を歌っています。(^_^)
歌っているとかなり体力が要りますが、劇的な雰囲気があって好きなアリアです。
だけど・・・ストーリーからすると女の悲しみが滲み出た感じのオペラですよねぇ。
史実ではアンナのモデルでもあるヘンリー8世の王妃アン・ブーリンは最後は打ち首に処されてしまいます。
だけど、このオペラではアンナは死刑を宣告されるものの、処刑されるまでに狂死してしまうのですが、処刑よりはまだこの方が救いの様な、またある意味では残酷な様な気もします。
余談ですが、ドニゼッティのオペラってイギリスの王室ものの悲劇の題材というのか、テーマにしたオペラが目立っています。
この「アンナ・ボレーナ」もそうですが、あともう一つは「マリア・ストゥルダ」という作品があって、こちらはスコットランド王室の女王メアリー・スチュアートがモデルでイングランドの女王エリザベスとの対立みたいなものがテーマになっていたと思います。
このメアリー・スチュアートも処刑されてしまうのですよねぇ。。。
「マリア・ストゥルダ」ではタイトルロールはラストは処刑される設定になっています。
余談ですが・・・^_^;;現在、毎日更新している記事はサービス終了でもうすく閉鎖される「YUKIのオペラ・ミニミニ・ストーリー解説」というBlogの記事をこちらへ転載しています。
だから、ここしばらくは記事は夜に予約自動更新するように設定しています。^_^;
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