このオペラはメリメの小説をベースにされたもので、当初は普通に話すオペラ・コミック形式が取られていたそうですが、後にビゼーの友人が普通の台詞部分をレチタティーボに変えたそうです。
最近1964年頃にビゼーのオリジナルのものが出版され、オペラ・コミック(コミ-ク)形式でも上演されるようになったそうです。
台本・・・リュドヴィっク・アレヴィ、アンリ・メイヤック
作曲年・・・1873~1874年
初演・・・1875年3月 パリ・オペラ・コミーク座
登場人物
カルメン(メゾ・ソプラノ)
ドン・ホセ(テノール)
エスカミーリョ(バリトン)
ミカエラ(ソプラノ)
スニガ(バス)
ダンカイロ(バス)
レメンダート(テノール)
フラスキータ(ソプラノ)
メルセデス(メゾ・ソプラノ)
モラレス(バリトン)
あらすじ
第一幕
19世紀頃のスペイン・セビリアの街中。
偉兵隊の詰め所で大勢の町の人を衛兵の伍長モラレスを始めとする兵士達が眺めている最中に、ミカエラが別の隊の伍長ドン・ホセを探しにやって来ます。この時は、まだホセは来ていないのでモラレスがミカエラにホセが来るまで待つように促しますが、彼女はホセがまだ出てきていない事でその場から逃げるようにして立ち去ります。
それから間もなく子供達に付きまとわれながら交代の衛兵隊達がやって来ますが、その中に隊長のスニガとホセもいます。その時にモラレスがホセにミカエラが探しにやって来ていた事を告げます。
やがて昼休みになり鐘の音が鳴り響くと若者達が集まり、町のタバコ工場から女工達が出てきます。その中に後から出てきた女工でジプシーのカルメンに男達は口説こうとします。しかしカルメンはその辺の男より、たった一人だけ自分に興味が無さそうなホセに興味を持ち、ハバネラを歌って彼の気を引かそうと持っていた花をホセに投げつけます。
ホセは取り乱すかのようにしながらも花を拾い上げると、そこへミカエラが登場。彼女はホセの母親の様子を語り、母親からの手紙を渡して立ち去ります。手紙を読んだホセはミカエラと結婚する事を決め、カルメンが投げつけた花を投げつけますが、そこへ喧嘩騒ぎが起こり、女工達が騒ぎ始めます。ホセは再び花を拾い上げ、騒ぎを押さえようと他の兵隊達と一緒に喧嘩の仲裁に入っていきます。
喧嘩で相手にケガを負わせたカルメンがスニガの命令でホセに連行されてやって来ます。ホセはカルメンを縛り上げますが、街中から人々が去り、兵士達も去り、スニガが彼女を投獄する為の命令書を取りにその場を離れ、カルメンとホセは2人きりに・・・。
カルメンはホセを口上手く口説き、最初はカルメンの誘惑を頑なに拒んでいたホセも遂におれてしまい、カルメンの虜になっていきます。
そして遂に再び居酒屋のリーリャスパスティアで会う事を約束して、ホセは彼女を縛っていた縄を解いてしまいます。
ホセがカルメンの縄を解いた所へ命令書をもらってスニガ再び戻り、ドサクサにまぎれてカルメンはホセを突き倒して逃走。ホセはカルメンを逃がした事でスニガにとがめられ、営倉送りで位も降格というハメになってしまいます。
第二幕
居酒屋のリーリャス・パスティアでダンスでフィーバしている中、カルメンや仲間のフラスキータ、メルセデス達が客の相手をしています。
その時に客として来ているスニガはカルメンにホセが彼女を逃がした事で営倉送りで降格処分になった事を告げます。そんな時に売れっ子闘牛士エスカミーリョがやって来て、皆の人気を更に集めます。彼はカルメンを見て彼女に興味を持ち始めます。
皆が騒いでいる時に居酒屋の主人が客達を追い返そうとします。何度催促してもなかなか帰りませんでしたが、遂に催促に負け、客達も全員帰りました。実は居酒屋の主人の催促の訳は、密輸業者のダンカイロとレメンダートが密輸の話をする為に来ていたからです。
しかし、カルメンはホセと会う約束をしている為に乗り気ではありません。そんな彼女にダンカイロはホセも密輸団に引きずり込むように促してその場を去ります。
全員が去ったところへホセがやって来て、再会を喜びます。
カルメンはホセの為に歌って踊りますが、兵隊の帰営ラッパが鳴った事でホセは帰ろうとします。そんなホセにカルメンは苛立ち始め、彼女を落ち着かせようとホセはカルメンへの思いを告げます。苛立っていたカルメンも落ち着き、ホセを自分に何処までも着いて来る様に促しますが、そこへスニガが再び入って来て、ホセを詰ります。そして遂にホセは自分の上官と争う事に・・・。
そしてカルメンが呼んでそこへ入って来た密輸団のメンバーらにスニガは捕らえられます。
ホセはそこにいるカルメンを始めとする密輸団のメンバーらに自分達の仲間に入る様に勧誘され、遂にホセは脱走兵になり悪事を働く集団に加わるハメになってしまいます。
第三幕深夜遅く、山の中の密輸団のアジト。ホセとカルメンの仲は既に冷え切っています。ホセはカルメンを愛しているのですが、カルメンは既にホセの事に飽きてしまったと言うか、嫌気がさしてしまった感じです。
カルメンはフラスキータやメルセデス達がカード占いをやって遊んでいるのを見て、自分も同じくカード占いをやり始めます。しかし、カルメンが占うと出た結果は「死」。何回やっても自分とホセが死ぬ事ばかり出ます。それで結果はカルメンが先に死んで、後からホセ・・・と言う様に結果が出ます。その事で彼女は自分の運命を悟り、困惑気味になります。
メンバー全員が仕事の為に立ち去った所へミカエラがホセを連れ戻す為にアジトへやって来ますが、たった一人残って見張りをしていたホセが怪しい人間が入って来たと思い込んで銃を発砲するとミカエラは隠れ、入れ代わるかのようにエスカミーリョがカルメンを求めてやって来ます。
エスカミーリョがホセにカルメンを愛している事を告げると、ホセはブチ切れして決闘をしかけます。エスカミーリョを追い詰めた時にカルメン達が戻って来て、ホセを止めます。
エスカミーリョがカルメンや密輸団メンバー全員を自分の闘牛ショーに招待する事を告げ、その場を去ります。
エスカミーリョが去った所へ隠れていたミカエラがレメンダートに捕らえられ突き出されます。ミカエラはホセを見つけ、彼の母親が既に危篤の床にある事を告げるとカルメンは冷たくホセに帰る様に促します。そんなカルメンにホセは未練を残しながら、またエスカミーリョへの嫉妬心を募らせながらもミカエラと共に山を降りる事にします。
第四幕セビリアの闘牛場前で皆の歓声を受けてエスカミーリョが登場します。そこへカルメンも着飾って姿を現し、2人は愛を告白しあいます。
この会場にホセがカルメンを狙って紛れ込んでいる事を知ったフラスキータとメルセデスはカルメンに注意を促しますが、彼女は全く平気な様子です。それどかろか、自分から話をつけてやる!って感じで強気に振舞っています。
その場にカルメンが1人になった所を見計らってホセが姿を現します。
ホセは必死になって彼女に復縁を申し込みますが、彼女は冷たく突っぱねます。それどころかホセが必死になればなるほど、カルメンのホセに対する嫌悪が増していくばかりです。
闘牛場の中から勝利の大歓声が沸き起こった時にカルメンは闘牛場の方へ歩み寄ろうとすると、嫉妬にかられたホセは「エスカミーリョを愛しているのか?!」と問い詰めます。するとカルメンは「死んでも彼を愛する!」と答え、前にホセからもらった指輪を投げ捨てます。
この行為にホセは遂に完璧にブチ切れ状態となり、カルメンをナイフで刺し殺してしまいます。
カルメンを刺し殺したホセは殺してしまっても彼女を愛している事を語り、彼女の遺体に身を投げて抱き締めます。
YUKIのコメントコーナーこのオペラって超有名なのですが、本当に男女の愛憎がモロに現れたオペラだと思います。
これはストーリー的に見ても、実際にこの手のストーカー事件なんかが現実にも起こったりもしているので、不気味さがあるストーリーだと思います。
これも、やはり内容が余りにも過激な為なのか、本で読んだ情報ですが公序良俗に反する所があり・・・ってところで劇場からしょっちゅう改変の指摘を出されたようです。
けど、これは原作はもっと過激な内容との事ですが、過激さを和らげられ、今は世界中で大人気のオペラとなっているそうです。
私がこのオペラを観た映像の解説書に寄ると、このドン・ホセは原作ではもっと怖い感じの性格だったようですがそれもオペラでは怖さを和らげられているとの事のようです。
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