このオペラはある楽譜出版社がライバル的な(?)先行する出版社に対抗する為に1幕物のオペラに懸賞を付ける様なイベントをやって、そのイベントで1位で入賞した作品だそうです。
その後にイタリア・オペラの中のヴェリズモ・オペラ(現実主義オペラ)の代表作となったそうです。
内容的にはかなり過激なというか泥沼的サスペンスもので、サスペンスが好きな方にお勧めのオペラだと思います。
台本・・・タルジョーニ=トッツエッティ&グイード・メナーシ
作曲年・・・1888~1890年
初演・・・1890年 ローマ・コンスタンツィ劇場
登場人物サントゥッツァ(メゾ・ソプラノ)
ローラ(メゾ・ソプラノ)
トゥリッド(テノール)
アルフィオ(バリトン)
ルチア(アルト)
あらすじ1890年ごろのイタリア・シチリア。
朝のシチリアの村にある教会で復活祭の鐘が鳴り響いています。
人々が教会へ集まってくる時に村娘のサントゥッツァが居酒屋の女将ルチアに彼女の息子トゥリッドの居場所を尋ねます。
ルチアは息子が隣町へワインの仕入れに行ったと答えますが、サントゥッツァは既に前夜にローラの家の近くでトゥリッドを見かけた人間がいるという噂を聞いています。そこへやって来たのはローラの夫である馬車屋アルフィオもその事を既に感付いているのです。
サントゥッツァは教会からオルガンの音が響くと他の人々と共に祈りを捧げてからルチアにトゥリッドとローラのかつての関係と自分とトゥリッドと付き合う事になった経緯を語ります。
その経緯とは、かつてはトゥリッドとローラは恋人同士であったがトゥリッドは兵隊に行ってしまい、彼が兵隊に行ってしまった間にローラはアルフィオと結婚。。。その為に戻って来たトゥリッドは自分の彼女が他の男と結婚してしまった腹いせにサントゥッツァと付き合う様になった事をルチアに告げます。
しかし、彼はローラとまたよりを戻した感じになって自分は捨てられそうになっている事もルチアに訴えかけます。
そんなサントゥッツァに同情を抱きながらもルチアは彼女を残して教会へ入っていくのです。
サントゥッツァは未婚の状態で男と関係を持った事で教会の中へ入る事が出来ません。
1人教会の外へ取り残されたサントゥッツァは一人ぼっちになった所へトゥリッドが姿を現したのでローラとの事を問いただそうとします。
そんな彼女にキレたトゥリッドゥは否定。そこへローラが通りかかり彼は元の彼女ローラと共に教会へ入って行こうとしますが、サントゥッツァは彼に必死にすがりつこうとしますが・・・それも虚しく自分の彼氏だと思っている男トゥリッドに突き飛ばされます。
当然の事ながらサントゥッツァもキレて激しく彼氏を罵ります。
トゥリッドからムカツク仕打ちを受けたサントゥッツァ・・・。
当然の事ながら黙ってはいません。
トゥリッドの前の彼女の夫アルフィオがやって来たことで、サントゥッツァはアルフィオに彼の妻ローラが自分の彼氏を横取りしたと食って掛かります。
実はアルフィオ自身も前から何となく妻が浮気をしてそうな・・・って事を感付いていたのでサントゥッツァから妻の不倫の事実を聞かされた事で遂にブチギレ状態になり復讐を誓います。
アルフィオのブチギレぶりの凄まじさにさすがのサントゥッツァも捨てられているとは感じているもののトゥリッドは自分の恋人。
やはりトゥリッドの事を愛しているのです。
トゥリッドが命の危険をさらされる事を心配して自分がアルフィオの妻と恋人の浮気事実伝えてしまった事を後悔します。
だけど心配しても時は既に遅し・・・って感じです。何せアルフィオはトゥリッドを殺すつもりでいるって感じですから。。。
一方トゥリッド&ローラは教会から出て来て友人達と酒を飲んで大騒ぎ。
騒いでいる所へご機嫌ななめのアルフィオが登場。トゥリッドがアルフィオに杯を差し出しますが当然の事ながら妻の浮気相手から差し出された杯なんて要らない。
遂に険悪なムードになり、ローラや女達はその場から立ち去ります。
トゥリッドは不倫が浮気相手の夫にバレたと感付き、先手を打ってトゥリッドの方からアルフィオに決闘を申し込みます。
決闘を申し込んだトゥリッドはアルフィオに殺される覚悟をしたのでしょう。。。酔っ払った様なマネをして母ルチアに自分が戻らない時(アルフィオにやられた時)はサントゥッツァを頼む・・・と懇願してその場を立ち去ります。
その後、大勢の悲鳴が響き渡り、トゥリッドがとうとうやられた事を告げられます。
そのトゥリッド刺殺の知らせでショックを受けたサントゥッツァとルチアは遂に失神してしまって終わります。
YUKIのコメントコーナーこのオペラのキャラであるサントゥッツァは殆どはメゾ・ソプラノが歌っているようですが、ソプラノが歌っている事もあるようです。
それと、トゥリッドの昔の彼女ローラもメゾ・ソプラノが歌っている事もあるしソプラノが歌っている事もあるみたいです。
ちなみにこのオペラは学生の頃に関西歌劇団の公演(日本語上演)で観たのが初めてです。
最近では親切な人から情報を教えて頂き、ウイーン国立歌劇場の2004年~2005年シーズンのPR用のビデオクリップでTVでの映画の予告編的なビデオクリップで少しだけ観ました。(情報を教えて下さった方、有難うございます)m(__)m
音楽は凄く美しいメロディが展開されるのですが、内容は超ハード・サスペンスって感じ。。。(^^;)
浮気・不倫・嫉妬・復讐・殺人と怖い要素の集結したタイプの内容のオペラだと感じます。
本編では完全に彼氏に捨てられて冷たい仕打ちを受けてきたサントゥッツァ。。。
しかし最後にサントゥッツァを冷たく突き放していたトゥリッドも母ルチアに「彼女の事を頼む!」と告げた事が少し救いって感じもしなくも無かったです。(^^;)
前半で歌われるサントゥッツァのルチアにトゥリッドとローラのかつての関係や自分とトゥリッドとの関係を訴えるアリア「ママも知っている通り」、後半でのトゥリッドゥのアルフィオにやられる覚悟が出来て母ルチアに別れを告げるアリア「母さん、あの酒は強いね」は凄く切迫した感じで聴きものです。
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